日々と君

How I wonder what you are !

○切ないちぇのお話

 

帰り道、少し前に

幼なじみの大晴の姿が見えた。

 

よく見かけるのは見かけるのだけど、

今日はいつものあの子がいない。

 

「大晴」

『おお、△△やん』

 

「今日◯◯ちゃんは?委員会とか?」

 

『あー、えっとなあ...』

 

まずいことを聞いてしまった気がした。

 

『フラれてもてさ』

 

「あー、そう、なん...」

 

返す言葉が見つからなかった。

大晴から猛アプローチして

付き合うことになったという話は割と有名で

付き合ったときもめちゃくちゃハイテンションで

報告してきたのを覚えてる。

 

『なにお前が気まずそうな顔してんねん!(笑)』

 

本人は普段通りのつもりなんだろうけど

全然笑えてないことくらいわかる。

 

『いやあ、多分俺が好きすぎてんな!"大晴はもっと自分のこと大事にして"って言われてもたわ』

 

「そうなんか...」

 

『全然凹んでないからな俺?!』

 

全然笑えてないし。

 

「こんな時くらい素直になったらええのに」

 

『.......』

 

しばらくの沈黙が流れた。

 

『あいつさー、ちょっと抜けてるとこあるやん?

俺なんか普段ボケてばっかやのに、あいつが

抜けたことばっかするから「なにしてんねん!」ってほんまツッコミなってて(笑)』

 

「うん」

 

『ほんま、可愛くて』

 

「うん」

 

『あー!でももう俺なんも突っ込んまれへんのやな!もう俺の彼女ちゃうねんもんなー!そもそも俺なんかと付き合ってくれたのが奇跡みたいなもんやってんな!』

 

ってまた切なく笑う。

 

『俺はほんまに、ほんっっっまに、大好きやってん』

 

過去形にしてるけど、

きっと今だって大好きなのが

下唇を噛む動作からわかった。

 

『前、向かなあかんのやろか』

 

ボソッとつぶやいたその言葉を聞きながら

大晴がまた幸せになれますようにと

心の中でつぶやいた。